「放送大学に入学して本当に意味があるのかな…」
もしあなたが今そう思って入学をためらっているなら、その気持ちとてもよく分かります。
私自身、入学前は同じように不安を感じていましたから。
インターネットで検索すると、「ひどい」「恥ずかしいし、馬鹿にされるだけ」といった辛辣な言葉が目に飛び込んできますよね。
現役で学んでいる学生として、なぜこんな風に言われてしまうんだろう、と複雑な気持ちになることも少なくありません。
でも、実際にここで学び始めると、全く違う景色が見えてきます。
実際に勉強をスタートさせてみると、自己管理の難しさに「卒業した人って本当にすごいわ」と心から実感する毎日です。
簡単すぎるなんてとんでもない。
むしろその逆で、学びの厳しさに直面して後悔に近い気持ちを抱く人も多いのです。
この外からのイメージと、中にいる私が感じるリアルとの大きなギャップ。
これこそが放送大学の少し特殊なところなのだと思います。
そこでこの記事では、一人の現役学生として日々感じていることを基に、なぜ放送大学が「意味ない」と言われてしまうのか、そして、その誤解の先にある「卒業の本当の価値」や「得られるスキル」についてまとめてみました。
少しでもリアルな声をお届けできればと思います。
- 放送大学が「意味ない」と言われる具体的な理由
- 評判とは異なる実際の学習や卒業の難易度
- 卒業生が「すごい」と評価される本当の根拠
- 学歴以上に得られる自己管理能力という価値
なぜ放送大学は意味ないという評判が立つのか

- 「恥ずかしい」「ひどい」と言われてしまう理由
- 意味ないと言われるのは「簡単すぎる」という誤解があるから
- 学歴コンプレックスの解消は難しいのか
- 授業についていけないと感じてしまう最初の壁
- 結果的に放送大学を選んで後悔する人の特徴
「恥ずかしい」「ひどい」と言われてしまう理由

放送大学に対して「恥ずかしい」や「ひどい」といった否定的な言葉が向けられる背景には、主に二つの側面があると考えられます。
一つは、一般的な大学のイメージとの乖離です。
多くの人が「大学」と聞いて思い浮かべるのは、華やかなキャンパスライフ、サークル活動、友人たちとの交流といった光景でしょう。
このような購入がないわけではないのですが、放送大学は学習形態の特性上、こうした要素が希薄です。
全国に学習センターはあるものの、毎日通学するわけではなく、学友と顔を合わせる機会は面接授業(スクーリング)などに限られます。
このため、大学生活のキラキラしたイメージを期待すると、そのギャップから物足りなさや、ある種の疎外感を感じてしまうのかもしれません。
もう一つは、世間一般の認知度の問題。
放送大学は、文部科学省と総務省が所管する正規の大学であり、卒業すれば学士の学位が授与されます。
しかし、入学試験で選抜を行わない「オープンアドミッション」という性質から、「誰でも入れる大学」と見なされ、その価値が正しく理解されにくい傾向があります。
そのため、一部の人からは学術的な権威が低いと見なされ、「大学とは言えない」なんて言われてしまったりするんです。
意味ないと言われるのは「簡単すぎる」という誤解があるから

放送大学が意味ないと言われる最大の要因は、「入学が簡単だから卒業も簡単だろう」という根強い誤解にあります。
入学のハードルが低いことの裏返し
放送大学は、18歳以上であれば基本的に誰でも書類選考のみで入学できます。
いわゆる偏差値という概念が存在せず、学力試験による選抜がないため、入学のハードルが極めて低いのは事実です。
この手軽さが、大学の価値を学力的な序列で判断しがちな人々から「簡単すぎる」「誰でも卒業できる」というイメージを持たれる原因となっています。
しかし、この「入口の広さ」と「出口(卒業)の難易度」は全く別の問題です。
むしろ、多様な学力や背景を持つ人々を受け入れるからこそ、卒業に至るまでの道のりは、個々の自己管理能力に大きく委ねられることになります。
卒業率が示す厳しい現実
この誤解を解くヒントとなるのがこの卒業率に関するデータです。
まず、一般的な4年制大学の卒業率について以下のように算出しました。
令和2年度の大学入学者数 635,003人
令和6年度の大学卒業者数 590,487人
卒業率 約93%
※入学者数、卒業者数の数字は文部科学省「学校基本調査」に記載されている数字を使用しています。
続いて、放送大学の卒業率を以下のように算出しました。
平成19年~令和6年 入学者数 209,929人 卒業者数 96,973人 卒業率 約46.2%
※入学者数、卒業者数の数字は放送大学公式Webサイト「数字で見る放送大学」に記載されている数字を集計したものになります。
両者を比べてみるとこのような感じになります。
項目 | 一般的な4年制大学 | 放送大学 |
---|---|---|
入学選抜 | 学力試験が主 | 書類選考のみ |
卒業率 | 約93% | 約46%(全科履修生) |
学習形態 | 対面授業中心 | 通信・自学自習中心 |
算出方法が違うので厳密には比較できないとは思うのですが、少なくとも、放送大学を卒業することは簡単じゃないと言うことはこの数字からわかります。
「簡単すぎる」というイメージは、その実態を全く反映していない表面的な見方であると言えるでしょう。
学歴コンプレックスの解消は難しいのか

「大卒」という肩書きを得ることで学歴コンプレックスを解消したい、という動機で放送大学への入学を考える方もいるかもしれません。
この目的が達成できるかどうかは、個人の価値観や状況によって大きく異なります。
まず、放送大学を卒業すれば、正規の「学士(教養)」の学位が取得できるため、履歴書には「大学卒業」と記載できます。
この点で、形式的な学歴コンプレックスの解消には繋がるでしょう。
採用条件が「大卒以上」の求人に応募できるなど、キャリアの選択肢が広がる可能性もあります。
ただし、注意すべき点もあります。
もしコンプレックスの根源が、まわりの人から「すごい大学出てるじゃん!」と言われたいというところにある場合、放送大学では満たされないかもしれません。
放送大学の価値は、一般的な大学の偏差値のような序列では測れないためです。
また、「コンプレックスの克服」だけをモチベーションにして、膨大な学習量をこなすのは精神的に大変な道のりです。
学習そのものへの興味や知的好奇心がなければ、モチベーションを維持するのは難しく、途中で挫折してしまう恐れもあります。
学歴コンプレックスの解消はあくまで二の次と考えましょう。
自分が本当に学びたいことがあるかを最優先に考えなければ、入学後の学生生活が辛く苦しいものになるからです。
授業についていけないと感じてしまう最初の壁

放送大学の学習は、テレビやラジオ、インターネットで配信される授業を自分で視聴し、印刷教材(テキスト)を読み進めるのが基本です。
この一見自由な学習スタイルこそが、多くの入学生が最初に直面する「ついていけない」という壁の原因となります。
一般的な大学であれば、決まった時間に教室へ行けば授業が始まります。
周りには教員や学友がおり、半ば強制的に学習環境が提供されます。
しかし、放送大学では学習のペース配分やスケジュール管理を全て自分で行わなければなりません。
「いつでも見られる」という安心感からつい後回しにしてしまい、気づいた頃には視聴すべき授業が溜まってしまっている、というケースは非常に多いです。
また、授業内容で分からない点があっても、その場で気軽に質問することはできません。
自分で調べたり、学習センターで質問したりといった能動的なアクションが求められます。
このように、受け身の姿勢では学び続けることが難しく、強力な自己管理能力と学習意欲がなければ、すぐに「ついていけない」状態に陥ってしまうのです。
結果的に放送大学を選んで後悔する人の特徴

放送大学での学びは、多くの人にとって有意義なものですが、中には「入学しなければよかった」と後悔に至るケースもあります。
後悔する人には、いくつかの共通した特徴が見られます。
一つは、「大学」という言葉の響きだけで、具体的な目的を持たずに入学してしまう人です。
「何かを学びたい」という内発的な動機よりも、「大卒の資格が欲しい」という外的な目標が先行しすぎると、地道な学習の過程で意欲を失いがちです。
また、自分の学習スタイルを客観視できていない場合も後悔に繋がりやすいでしょう。
一人でコツコツと計画的に勉強するのが苦手な人が、強制力のない放送大学の環境に身を置くと、学習が全く進まない可能性があります。
自分の特性を理解せず、「学費が安いから」「誰でも入れるから」といった理由だけで選んでしまうと、ミスマッチが起こりやすくなります。
さらに、学習に充てる時間を現実的に確保できていない人も挙げられます。
仕事や家庭生活が忙しい中で、空いた時間にやればいいと安易に考えていると、想像以上に学習時間を捻出できず、計画が破綻してしまいます。
入学前に、自分の生活の中に学習時間をどう組み込むか、具体的な計画を立てられない場合は、後悔する結果になるかもしれません。
意味ないという評価は絶対おかしい!放送大学が持つ本当の価値

- 実際のところ卒業が難しいと言われるのはなぜか
- だからこそ卒業できる人はすごいと言われる
- 放送大学は自己管理能力の訓練の場
- よくある質問と答え
実際のところ卒業が難しいと言われるのはなぜか

先ほど、放送大学の卒業率は約46%となっており、一般的な大学に比べてだいぶ低くなっていることに触れました。
この卒業の難しさは、主に3つの要因から生じていると考えられます。
1. 圧倒的な自己管理能力が求められる
個人的にはこれが一番大きな理由だと考えていますが、学習の全ての裁量が自分にあることです。
履修計画の策定、日々の学習時間の確保、通信指導(中間レポート)の提出、そして単位認定試験の準備まで、誰かが管理してくれるわけではありません。
放送大学の学生は一般の4年制大学の学生と違って、社会人学生が多いのです。
つまり、仕事や家事などの用事を抱えながら学習を続けなければなりません。
学習計画を立てていたとしても、仕事上の付き合いや突然の残業などで計画通りに進めることができなくなることが容易に起こるのです。
計画通り行かないことが続くことでだんだんと勉強から遠ざかってしまい、結果的に退学することになってしまう方が多々います。
そのため、学習を続けるには高い自己管理能力とタイムマネジメントスキルが必要で、これを卒業まで維持し続けなければいけないと言う忍耐力も必要となるのです。
2. 学問としての授業の難易度
放送大学の授業は、決して「お遊び」ではありません。
各分野の専門家である大学教授が担当し、その内容は学問として本格的かつ高度です。
高校までの基礎知識が前提となっている科目も多く、ただ授業を視聴するだけで単位が取れるほど甘くはありません。
印刷教材もしっかり読んで、内容を正しく理解しなければ、単位認定試験で合格点を取ることは難しいです。
3. モチベーション維持の困難さ
孤独な学習環境も、卒業を難しくする一因です。
共に学ぶ仲間と励まし合ったり、気軽に相談したりする機会が少ないため、学習のモチベーションを自分一人で維持し続ける必要があります。
「何のために学んでいるのか」という目的意識が揺らいだ時、学習の継続が困難になる学生は少なくありません。
これらの理由から、放送大学を卒業することは、単に学術的な知識を習得しただけでなく、厳しい自己管理のもとで長期間にわたり努力を継続できたことの証明でもあるのです。
だからこそ卒業できる人はすごいと言われる

放送大学の卒業生が「すごい」「優秀だ」と評価されるのは、前述した「卒業の難しさ」を乗り越えてきたという事実そのものに根拠があります。
一般的な大学を卒業したことも素晴らしい経歴ですが、そこには「時間割」や「学友の存在」といった、学習を後押しする環境がある程度整っています。
一方で、放送大学の卒業生は、そうした外的要因に頼ることなく、自らの力で学習をマネジメントし、目標を達成した人々です。
これは、社会で働く上で極めて重要となる能力を既に備えていることを示唆します。具体的には、以下のような能力の証明と言えるでしょう。
- 高い自己管理能力:自分で目標を設定し、達成に向けたプロセスを管理できる
- 計画性・実行力:長期的な視点で計画を立て、それを着実に実行できる
- 強い目的意識と忍耐力:困難な状況でも目的を見失わず、最後までやり遂げる精神力を持つ
- 自律的な学習能力:能動的に情報を収集し、自ら学び続けることができる
これらの能力は、どんな職種や業界においても高く評価される資質です。
したがって、放送大学の卒業という経歴は、単なる学士号以上の「人間的な強さ」や「社会人としての基礎能力の高さ」を示すものとして、高く評価されるのです。

放送大学の卒業の難しさについてはこちらの記事「卒業できたらホントすごい!それほど放送大学の卒業は難しい」にもまとめているので読んでみてください。
放送大学は自己管理能力の訓練の場


放送大学での学びを通して得られる最も価値あるものは、学士という学位や専門知識だけではないのかもしれません。
むしろ、卒業に至るまでの過程で培われる「自己管理能力」こそが、最大の財産になると考えられます。
仕事、家事、育児といった日々のタスクに追われながら、学習時間を確保し、計画通りに課題を進めていく。
この経験は、目標達成能力、時間管理術、そして何より「自分を律する力」を飛躍的に高めます。
これは、資格取得やスキルアップのための勉強など、社会に出てからのあらゆる「学び」に応用できる普遍的な能力です。
もちろん、放送大学の授業を通して、心理学、情報学、経済学といった専門分野の知識を深め、自身の視野を広げられることも大きな魅力でしょう。
しかし、それらの知識を血肉化する土台となるのが、自律的な学習習慣そのものです。
「大卒」という肩書きだけを求めるのであれば、放送大学はコストパフォーマンスの悪い選択肢になるかもしれません。
しかし、学びのプロセスを通じて人間的に成長し、生涯にわたって役立つ「学び方」そのものを習得したいと考える人にとって、放送大学は最高の訓練の場となり得ます。
よくある質問と答え
放送大学が意味ないのかはあなた次第
この記事を通して、放送大学が「意味ない」と言われる背景と、その評判の裏にある真の価値についてまとめてきました。
最終的に、放送大学での学びがあなたにとって意味を持つかどうかは、あなた自身の目的意識と価値観にかかっています。
以下に、本記事の要点をまとめます。
これらのポイントを踏まえ、ご自身の状況と照らし合わせて、じっくりと検討してみてください。
- 「意味ない」「恥ずかしい」という評判は存在する
- 評判の主な原因は入学のしやすさと大学イメージの乖離
- 「簡単すぎる」というのは大きな誤解
- 実際の卒業率は約50%台と非常に低い
- 卒業が難しい理由は自己管理と授業の難易度にある
- 学習計画を自分で立て、実行する必要がある
- 授業内容は本格的で高校レベルの基礎知識が求められる
- 学習意欲や目的意識がないと挫折しやすい
- 「大卒」の肩書きだけが目的なら後悔する可能性も
- 卒業生は非常に高い自己管理能力を持つ証明になる
- 「すごい」「優秀」という評価は卒業の困難さの裏返し
- 学士という学位以上に「やり遂げる力」が身につく
- 学歴コンプレックス解消が主目的だと厳しい道のりになる
- 生涯役立つ「自律的な学習能力」を習得できる
- 放送大学があなたにとって価値ある場所になるかは目的次第



